楽でも迷でもなく

ソワイエ・アンデポンドン!
今日は、とある「男」の物語を読み終え、またまったく別の「女」に関する考察を読んだ。どちらも未消化である。別段匿名にすることもないので書くと、男の物語=かわぐちかいじ沈黙の艦隊』(漫画です)、女に関する考察=小倉千加子『「赤毛のアン」の秘密』岩波書店、2004年。
前者はしかし…今現代が舞台であったならと考えずにはいられない(80年代後半〜90年代前半に連載されたものらしい)。冷戦が終結した後に連載がスタートしていたら?これだけのインターネットの普及を見ていたら?「世界市民」の創設を描いたマスコミ関係者たちの部分はまったく違っていただろう。9.11テロの後だったら?イスラム教圏に重点を置かなくてはならなかっただろう。
文庫全16巻の長編で、名前を持った女は一人も出てこない純度100%の男の物語。私はもちろん、女を登場させるべきだと言うつもりはない。ただ、この連載時にはこの作者または読者にとって女性がいないことがリアルで当然だと感じられたのだろうと思ったことを書かずにはいられない。軍隊(それもメインは潜水艦)と政治とあとはマスコミが主な舞台ではそれも。しかしこれも現代であったらどうだろうと思うのだ。先進国首脳会談をかくとき、そこには女性元首はいるのだろうか。女性兵士問題はどうなっているのだろう。
しかし、昔途中まで読んだ時も、今も「政治って面白い」と思う本だ。おすすめには変わりない。この作者はすごい、と思う。ただし潜水艦とか船に興味がないとつまらない部分も多い。
後者。タイトルからすると「赤毛のアン」ファンが読むマニア本のようにも思えるが、違う。私も以前は、そんなマニア本にも数冊手を出したアン・フリークの一人であり、いつかきっとプリンス・エドワード島に行こうと思っていた人間である。作者モンゴメリの他の本もかなり読んだ。小学校高学年から中学の時にかなりハマっていた記憶があるがいつのまにか薄れていた*1。さて、この本は戦後長くに渡ってなぜ日本人女性がこんなにも「赤毛のアン」好きなのか、それが意味するところは何かということを、作者の生涯や他の作品を追いながら書いたものである。
著者の主張は、というか日本女性観は『結婚の条件』と変わらない。つまり、自立も独立もしなくていい、そのままのあなたでいいと言ってくれるものを求め続けている。であるがゆえにアンが好きだし結婚はできない。
きっとこの本は私の耳に痛い本だろうと思って手に取った。そしてそうであるがゆえに私には心地よいのだろうと(そんなんばっかりだな)。かつて赤毛のアンやらなにんやらを夢中になって読んだのと同じ場所で、読んでいた。窓際のベッドの上というありがちな場所。10年前の私へ、ブルータスお前もか!
ビー・インディペンデント。

*1:あ、ベルばらが取って代わったんだ 笑