いむぱくと

≪警告≫この記事の最後にセミの抜け殻のアップ写真があります。そのテの画像が苦手な方はお気をつけ下さい。
今期のゼミはインパクトのあるテキストに欠けた、という声が前期最後のゼミで出ました。
去年一昨年のインパクトのあるのって何?『コメント力』とか!?というのではなくて、「みんなして“ウツ”になった」という『この世からきれいに消えたい。』*1とかのようです。たしかに、一昨年の『サイファ覚醒せよ!』*2もそうであった(と私は勝手に思っている)ように、宮台さんはインパクト強かったですね。それからやっぱり、『結婚の条件』*3や『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』*4あたりも、『若者はなぜ「決められない」か』*5、さらに香山リカの著作も、「このゼミの共通理解」を形作ってきたような印象が私にはあります。(・・・と挙げてみて、やっぱり私の趣味に偏っているなあ、シティズンシップとか政治思想への興味、薄っ!!)
結婚に対する条件は階級によって違う→うん、そうだ。ニート、フリーターは自己責任とは言えない→そうそう。というあたりでしょうか。あと、あいまいな記憶ですが、この辺に出てきた言葉ってゼミ内で流行りませんでしたっけ?「サイファ」とか一時期流行ったような・・。「99.9%」はインパクト不足だったのか、あっさり忘れちゃった気もします。
まあそれで、後期は後々まで「あのとき読んだあの本で言ってたあれ・・・」と引用されるようなヒットな一冊があるといいな。と思いました。というわけで、宮台さんテキストに入らないかな、と思ったのですが。
宮台さんの難しいところの一つは(以前先生もおっしゃっていたかもしれませんが)、文献に90年代の具体的なできごとがよく出てくるからです。オウムとか神戸児童殺害事件が多いのですが、私たちの世代は・・・少なくとも私は、90年代前半の事件に当事者意識がない。たしかに新聞の見出しに「オウム」の文字が躍っていた記憶はあるし、神戸の事件の犯人は私の二歳上なだけ。でも、成人になっていた人と私たちの衝撃はまったく違うに違いない。テレクラって…なんか死語めいてるよなーとか、ブルセラ援助交際も実感として遠いなあとか(これは世代よりも私が属していた地域やコミュニティの問題が大きそうだけど)。援助交際がひとしきり騒がれてから高校生になったのが私の世代。だから「女子高生が売春という衝撃的な事態」というのに共感しきれない。そりゃあ私はそんなことしないけど、そういう人が最初からいたのだから驚けって言われても・・・という気が、する。
この辺は個人の記憶能力の違いが大きそうだが、私の年は「天皇崩御」の記憶がない最初の年ではないかなーと思う。この線引きに意味があるのか分からないけど、「それ私は記憶になーい」というと驚く年上の人が多いので。ちなみに1,2歳上の人はけっこう覚えている様子ですね。あー、来年は最初の平成生まれが大学に入ってくる(オール平成生まれの学年はもう一つ下だけど)。
そうそう、私たちが「昭和生まれ」であることに勝手にシンパシーを持って、「冷戦もついに教科書に載るようになったのかー」と感慨にふける歴史教諭あたりに「いやそりゃそうでしょ、うちら冷戦もドイツ統一もほとんど記憶ないっすよ」と言って「なに?!そうなのか!」と動揺させた記憶、ありませんか?(笑)
それと同じように「IT革命」に対して持っている驚きも、違うだろうなと最近思った。「今はこんなことも出来る」とメールやネットの利便性を挙げる大人は多く、それに対してそうですねえとは思うのですが・・・私にはどうにも「革命的」とは今のところ思えない。そこまでのインパクトがない。というのも、自分の成長と機械の進歩が重なってて、自分が大人になったからできるようになったのか、文明の進歩によりできるようになったのかっていうのがいまいち判然としないのです。中学でネット触って、高校で一応自分用のメアドとかもらって、大学で自分用のパソコンもらって。もう20年前に生まれてたら、全然そんなことはなくて、連絡は家電(イエデン)で待ち合わせ遅れたら連絡しようもなく、分からない単語はまずネット検索・・なんてことはありえなかったと、頭では分かっているのですがねえ。まあそんな私もあと10年たてば、文明の進歩に驚愕し「うおーついてけんわ!」などと言い出すのでしょうか。デジタルデータに弱いあたりにその兆候は現れ始めています。なんていうか、CD、MDにはついてけてるけど・・・HDDとかねえ、あいぽっどとかねえ・・・。
セミが鳴き始めました。セミのからころもー

 
なんかけっこうおいしそうな色してますね(笑)

*1:藤井誠二宮台真司 朝日文庫 2003・・・今これを読んで泣いてたら客観的に見てやばいだろうなと思いつつ読み直す。あはは(笑)

*2:宮台真司速水由紀子 筑摩書房 2000

*3:小倉千加子 朝日新聞社 2003

*4:遙洋子 ちくま文庫 2004

*5:長山靖生 ちくま新書