(笑)の共有

先日出くわしたセクハラ発言について書こう。うざいから書くのも面倒だったが、柳沢氏の発言もあることだし、ことはついで。
は。書く前から思い出したら腹が立ってきた・・・あのオッサン(ていうかジジイ)・・・まあいいや、ちょうどいい教材になってくれたから。許してやろう。そう、「あなたの失礼な発言を許して差し上げましょう(ニッコリ)」と言ってやりたかった!もしくは「オッサンうるさいけど許してやるわ、かわいそうだから」。きっと顔をタコにして怒ったに違いない*1。あはは、タコめが。
で、件のジジイ(以下G*2)とはどこでであったかと言うとバイト先。今をときめく日雇い派遣労働者の私は、その日はちょっとしたフェスティバルのスタッフとして、学校祭の模擬店のようなお店で饅頭とお茶を売っていた*3。わりと暇な時間に現れたGは、お茶とお饅頭の用意をする私ともう一人の「茶屋娘」にちょっかいを出してきた(ヒマなジジイだ)。
「お饅頭はいいで、おねえさんたちいくら〜?」
私も大人になったなーと自画自賛するのだか、ちゃんと笑顔でお答えした、お饅頭の準備をしながら。
「いやいや。安くないですよ〜、ははは。」
しかしここで妙に応対をしたのがまずかったのか、やたらしつこくこの手の発言を繰り返すG。お客応対係りの社員さん(男性)ができるだけかわそうとしてくれているのは感じたが、こちらに直接話しかけてくる。
「饅頭とお茶100円はええでさ〜」「ほんで?いくら?」「あんた今はそんなえらそうにしとるけど、そのうちそのへんにこんななっておってみろ(ここで少ししょぼくれたポーズ)、相手にせんぞ」
さすがのGも、これらの発言を真剣しているわけではない。全体におそらくGなりに冗談っぽく(まあ私に言わせれば気持ち悪い薄ら笑いなのだが)軽い調子で言っている。しかし、ものすごく不愉快な感じがした。その時は流したが、思い出すと非常に気分が悪い。Gが去った後しばらくえもいわれぬ不潔感を覚えた。そこで私は考えた。
この発言そのものが不愉快だっただろうか?もちろん、そうだ。売り物じゃねーよボケ。そんなことも分からんのか頭大丈夫か。こっちこそあんたが客じゃなきゃ相手にせんわ。
しかし、それ以上に何かが不愉快だった。このくらいの発言だったら(もちろん基本的には嫌だが)、流せるときもある。例えばもしこの社員さんが言ったら?きっとこの人なら一緒に笑える。何が違うのか。私が出した答えは「(笑)の共有」。
Gは笑っている。真面目に発言してるはずもない。もし私が「○円なら売ります」などと真剣に返したら困っただろう。泣いても怒っても困っただろうから、おそらく私にも笑うことを要求している。しかし、その笑いを私と同じ次元で共有する気はないのだ。私と対等な場所で笑うつもりなどない。自分の圧倒的優位を前提とした笑いを強要してくるのだ。それは不愉快だ。
「同じ発言でも、する人によって違う」はこのメカニズムで解明できよう。多少のセクハラ発言でも、それを使い方で「ネタ化=(笑)付き」にしていれば実際そこまで不愉快じゃない。「それは笑い事じゃすまない!」という怒り方はあるが。しかし、その辺のニュアンスは実際にその場で当人が判断を下すだけで、客観的に何かが違うとかこう線引きできるとかというものではない。セクハラ発言の本当の気持ち悪さは言葉の奥にある。そのことに納得。みなさん気をつけましょうね。

*1:この人物にとって小娘ごときから許して「やる」などと上から見下ろした発言など許せないだろうと想像するので。

*2:そのつもりはなかったけど、飲食店でGと言えば・・・

*3:ちなみにお店の名前は「峠の茶屋」。結構凝った着物風の茶屋娘の衣装を着て、軽くコスプレだった(笑