文化の旅 出立〜松柏美術館

奈良まで行きたい&美術館の閉館は5時ということを考えると、少しでも長い時間の方がよかろうということで始発のムーンライトながらに乗って出かける。5時25分発の電車によく起きたぞ我ながら!就寝2時の4時半起床。前日は舞台稽古で疲労していたのにもかかわらず。8時45分には京都に到着していて、いつもならやっとこさ起きる時間なのにこんなところにいるなんて!と衝撃。やはり早起きはするものです。ここで近鉄に乗り換えて松柏美術館へ。…ああまったく関西もこんなに電車がややこしいなんて!だいたい私鉄がありすぎなんだよ名前すら覚えきらないよ!もっと独占しようよ、め〜鉄みたいにさ…。と相変わらずの地図・路線図・方向音痴を発揮しつつ、惑ひ行きけり。
上村松園を見に行きたいなと思ったのは、9月に彼女をモデルにした小説(宮尾登美子『序の舞』)を読んだからでした。日本画美人画の人で、能に着想を得た絵もいくつも描いていて気になっていたところへ、愛すべき観世会の同期・岡玉ちゃんがこの美術展がやっていることを教えてくれたのでした。松園の子も孫も画家で、この松柏美術館はこの3人の美術館です。
閑静な高級住宅街の中に美術館はありました。お客はやはりおば様がほとんどで、若者はあんまり?全然おらず。平日だしね。実は展示に負けず劣らずおば様方のコメントも面白かった…!「まあまあ、これはまたかわいらしい」「ほんとにねぇ」「なんてきれいな」とまあずっと感嘆の声。何ということはないんだけども面白い。でもそういうのを聞いて、絵の見所や自分と違った視点を発見できたので楽しかったです。
小説をもう一度ざっと読み直しておきたかったところでした。髪の生え際の描き方が凝っていたとか、「これからは着物は何の素材か分かるように描こう」と決意していた場面があったのを思い出して、とりあえずそのあたりをよく見ました。髪の生え際や顔は本当に繊細に優しく描かれていて、一体どうしたら筆でこんな風に書けるのだろうと思えました。おそらくこの美人画も前だったらきれいだと思わなかったのでしょうが、能面を見慣れた今の目からはとても美しく見えました。それから素材感を出している描き方のなかでは、髪飾りの絞りの布がよかったです。あの絞りの角が一本一本立っているように本当に見えました。ただ気になったのは気合を入れて描いているところとそうじゃないところの差が激しい感じがしたこと。顔の繊細さに比べて、ん?後ろの花とか草とかいいかげんじゃない?まあいいけど、背景はあくまで背景、なのか。
部室にあった画集であらかた本に出てきた絵は見ていたけど、やっぱり本物を見られたのは満足。大きさやいろいろな具合を見られるのはやっぱり本物。近づいて見たり遠目で見たり、美術館は好きなように楽しめます。庭も感じがよかったのでぐるっと散歩して、紅葉のプロペラの種でこっそり遊んで(笑)枝垂桜を季節の時に見たいものだと思いながら、去る。着物の柄とか素材とか決まりにもっと詳しくなりたいなあと思いました。