佐渡合宿記Ⅰ 出発

交通費は安く!が信条の私は、新潟まで18切符1枚で行くプランを実行。去年は特急しなの等を使って名古屋→長野→新潟で往復しましたが(それでも8時間かかる)、10日の3時過ぎのフェリーに乗らなければならないので、それをオール鈍行は無理。というわけで、夜行電車ムーンライトながらに乗って東京へ、そこから埼玉→群馬を経由して新潟へ。計画では合計11時間半ほどの列車の旅。東京から出発する人でも誰一人鈍行使用者はいないのに、プラス5時間かかる愛知発の私だけがこんなことをしているという笑える事態。ところがどっこい、これをした甲斐がありました。私の中では未踏の埼玉と群馬に足を踏み入れられたし。
早朝5時前に東京着、しかし乗り換え時間が3分しかないあの東京駅で!不安は的中して乗り換えに失敗。。だってさー同じ路線の上りと下りなら同じホームにしてよ!!むなしく階段を登る最中に乗るべき電車が駅を去っていく音を聞く。これに乗れればその後の乗換えが奇跡的にうまく行っていたのだが、東京を15分遅れで出たその結果は新潟では2時間に拡大していたのでした・・。乗り換え、悪すぎ!!
大宮、高崎と乗り換え、本を読みつつ眠りつつ北上を続ける。関東でもこういうところなら住みやすそうだなあと思う。やっぱりほどほどの緑が大事です。風景の背後に山があるのが、私には落ち着く景色らしい。
そしてたどり着いた水上駅。電車を降りたらむっと暑いのが当たり前なので無意識に身構えていたら涼しくてびっくり。で、乗り換えようとして時刻表を見て驚愕。ない。全然ない。なんじゃこりゃあ、1日に…6本?!駅員さんに確認してみる。「あのー、次の長岡行きの電車って1時間後なんですか?」「ああそうだよ。もう電車はそこに来てるけどねえ」群馬県新潟県の境目を渡るここの電車がとにかく少ないらしい。1時間待機している電車っていうのもすごいな。。駅でぼさっとしているのもなんなので、周囲を探検に出かけることにした。
山が迫って、そこに利根川が流れていて、きれいな景色。なんとか川に下りていって水遊びでもしようと考えたが、うまいこと降りていく道がない。じゃああのつり橋を渡ろうと思えば、近づいてみると老朽化のため使用禁止。しかたがないので道なりにてくてく歩いていると、ある民宿で見つけた張り紙「M治大学能楽部」(一応伏せ字にさせていただきました)。おおお?!能仲間!立ち止まっていると聞こえる囃子の音、謡の声。どうやらしかも同じ観世流らしい。
とここで入って一言ごあいさつでもするか、このまま立ち去るかでかなり迷う。迷う迷う。しかしせっかくの機会逃すまじ!と、ちょうどお稽古の区切りがついたころを見計らってお稽古部屋にお邪魔する。
突然現れた謎の人物だったのにもかかわらず、丁寧に迎えていただいてありがとうございました。私たちと同じく、今度囃子も学生で能を出されるそうです。それから一橋観世会さんとは付き合いがあるらしいのと、あちらの所属している関東観世会連盟と名大の所属する名古屋学生能楽連盟は交流がある、ということで多少間接的ではありますが、つながりがあることが分かりました。時間があればもう少しお稽古見学などさせてもらいたかったところですが、あの電車を逃すわけには行かないと、一言のあいさつだけで失礼しました。それにしてもすごい偶然。こんなところでこんなふうに出会うことがあるとは。こんな旅もしてみるものです。
そしてまた電車の旅。トンネルの中で緊急停止した?!と思いきやトンネルの中に駅がある*1というびっくりな体験をしつつ、ここは地底人が住むのだろうかといぶかりつつ、ついに新潟に到着したのは2時でした。そこで一橋のみなさんに合流。フェリーへ。
フェリーではカモメのえさやりにひとしきり夢中になってから謡を覚えたり寝たりして両津港へ。一足先に佐渡に着いていた東大組とも合流し、宿へ到着。ところでこのカモメというのは本当にすごくて、カッパえびせんを食べるって健康上大丈夫か?とも思うのですが、投げれば空中キャッチするし、手からも直接食べに来る。みごとな飛びっぷりです。実は鳥の嫌いな私ですが、なんとか直接食べさせることにも成功。うれしい。

*1:調べてみたら、ここは土合駅といって「日本一のモグラ駅」として鉄道ファンなんかには有名らしい。下りのみトンネル内で、ホームから地上まで10分ほど階段を登らないといけないらしい