二日目 粟津〜北野天満宮

ずっと行きたい行きたいと思ったままだった江州粟津(滋賀県大津市)に今回ようやく行けました。これは一体どこかと言うと、能「巴」の舞台、木曾義仲の最期の地です。膳所駅から徒歩5分ほどのところに義仲寺(ギチュウジ)という義仲や巴を祭ったお寺があるのでそこへ行きました。また迷って花屋のお兄さんが親切でした。義仲寺は、もっと寂れた場所かなあと勝手に思っていたのですが、小さくはあったけれどよく手入れされてて庭の美しいいいところでした。義仲関連のもののほかに芭蕉のお墓もありました。ここに葬ってくれとの遺言だったらしい。巴塚(小さかった…)と義仲のお墓に手を合わせて巴地蔵堂でお焼香して一通りまわった後、帰ろうか、それとも勇気を出してあれを決行するかどうか、しばし迷う。迷ったけれどもここで思いとどまってはだめだ旅の恥は掻き捨て!!と思い、お寺の人に話しかける。
「あの…私、大学のサークルで能をやってて、今度能「巴」をやるんですけど…」「ああ、そういう方もよくお見えになります」(能やっていると言って驚かれなかったの初めてかも…と思いつつ)「それであの、小さい声で、謡を謡ってもいいでしょうか?」「(さすがにちょっと面食らった顔)ええまあ、今は他のお客さんもいないし、小さい声でなら…」(よっしゃっ!)
というわけで、庭の藤棚の下のベンチに正座して謡本を取り出し一人素謡開始。だいぶ抑えた声で謡いを開始。しかし途中で突然、隣家の人が雨戸を閉めた…!!(泣)えっ私のせいですか得体の知れない声ですみません。さすがに気まずくてさらに声を抑える。とそこへまた団体客と、そしてなにやら聞きなれた声…観世会のM氏とO先輩!素謡姿を激写される。他のお客さんも見えたのでもうほとんど口パク状態で、それでも意地で最後まで謡い通す。満足♪
能では巴が自分の執心を弔ってくれと頼んで終わるけれど、ここではとても丁寧に祭ってあって、(塚やお墓にはちゃんと花も供えてあった)これなら浮かばれるなあと思った義仲寺でした。
そのあとは琵琶湖を見に。これも徒歩5分で。「面白や鳰の裏波静かなる」(前シテの最初の謡)のイメージがなんとなく分かってよかった。というのも、今まで琵琶湖を見たことがなく、海みたいに広いのに波がなくて凪いでいる、鏡のような水面というのが頭になかったからです。霧っぽくてかすんでしまってあんまりよい景色ではなかったけど。惜しむらくは岸辺が「におの浜プロムナード」とやらで、落葉樹が並び、きれいなんだけど義仲が自害した*1松は一本も見当たらず、そんな雰囲気じゃなかったこと。まあ、義仲の最期の場所とは少しずれていたのでしょうがないのですが。
琵琶湖なら龍神がでてきてもいいよなと思う(能「竹生島」がそういう話)。前日に見た奈良の猿沢の池ではちょっと…ちょっとどうかと思った、「春日竜神」(笑)亀だらけだった!!
北野天満宮は、春までやっていたバイト先の塾の教え子(いま全員受験生)に、学業成就のお守りをあげたいなあとずっと思っていたので行く。前日約束したのでよっちゃんと待ち合わせ(よしこれで迷わないで済む!)。11円のお賽銭で5人の教え子と弟Ⅰの計6人分を頼んだ自分はなかなかずうずうしいのかもしれない(笑)お守りは高いので、全員分買うのはやめて一つだけ買って塾においてもらうことにする。自分の分はいいの?と聞かれて、政治学フェミニズムの勉強に邁進しなきゃだめかなあ〜でも研究の道には進まないし…と思っていたら、就活のことだったらしい(笑)やばいね。

*1:能「巴」では義仲は自害したことになってます、「平家物語」では討ち取られたけど